■ 書籍情報

書名 悲しみに言葉を
喪失とトラウマの心理学
著者 ジョン・H.ハーヴェイ
監訳者 安藤清志
ジャンル 社会心理学
判型・頁数 A5判・396頁
本体価格 3,800円
税込価格 3,990円
刊行年月日 2002年11月8日
ISBNコード ISBN978-4-414-30296-7
旧ISBNコード ISBN4-414-30296-X
原書名 Give Sorrow Words: Perspectives on Loss and Trauma

解説 人生は大なり小なりの喪失に満ちている。喪失とは、人間らしさという点で、あらゆる国や人種や宗教を超えて、人を結びつける共通の絆ともなるものである。著者はこの点に、それを乗り超える希望を見出している。さらに、愛と憎しみという対立ばかりでなく、無関心という更なる喪失を招く行為から生み出される結果にも目を向けるべきだと警告している。

目次 1 喪失研究入門――なぜ悲しみに言葉を与えることが必要なのか
2 用語の定義、解釈作りの視点
3 親しい人の死による喪失
4 離婚・離別による喪失
5 理不尽な暴力による喪失
6 戦争や大量虐殺による喪失
7 病気や事故による喪失
8 貧困、ホームレス、失業
9 喪失とトラウマを国際的な観点から見る:ルーマニアの事例
10 公認されていない悲嘆とスティグマ化
11 適応
12 エピローグ:大きな喪失に対処するための実践的な方略

著者紹介 John H.Harvey|アイオワ大学心理学教授

監訳者紹介 あんどうきよし|東洋大学社会学部社会心理学科教授

訳者 藤枝幹大・福岡欣治・福岡志保

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書評再録 [産経新聞 2002年12月16日]
 私たちは日々、いろいろなものを失いながら生きている。すぐに忘れてしまう小さな喪失もあれば、とても対処できないような大きな喪失もある。米国の著名な社会心理学者である著者は、戦争やレイプ、肉親の死などさまざまな喪失の体験を取り上げ、「大切なものを失ったとき、人はその悲しみからどのように立ち直っていくことができるのか」を探っていく。その鍵となるのが「言葉」であり、言葉によって体験の意味をとらえなおし、解釈することだった。
 喪失やトラウマの研究は社会心理学の新たな研究領域として注目されており、本書には最近の研究の成果が数多く紹介されている。たとえば、「重大な喪失」は @重要な関係の喪失(離婚、友人関係の崩壊など) A自尊感情の喪失(失業や組織・家族内での役割の喪失など) B被害の結果として生じる喪失(暴力被害や自然災害による家屋喪失など)の少なくとも三つに分類できるという。@やAについていえば、現代は「重大な喪失」に満ち満ちている時代ということもできる。
 この本の魅力は、そうした研究成果が概観できるだけでなく、一般の読者にもその成果が納得できるようシェークスピアからミステリー小説や新聞記事まで、さまざまな文章の引用とエピソードの紹介により、喪失の具体例が分かりやすく解説されていることだ。 また、「友人や同僚が不治の病や障害が残る病気にかかったときに、その人を避けるようなことをすると、その人はスティグマ化されるだけでなく、喪失やこれから起こりうる喪失を、オープンに悲しむことができなくなってしまう」といった思わずわが身を反省したくなるような文章にも出くわす。スティグマ化は烙印を押すといった意味だ。
 そして、最終章では、喪失に取り組む際の「長年にわたる講義の経験から有益であることが明らかになったリストやアドバイス」まで紹介されている。用意周到というか、いつか喪失を体験するかもしれない読者に対する心憎いばかりの配慮というべきだろう。 (編集局次長 富田一雄)

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